動物たちの苦しみを知ろう~世界は「動物実験反対」の流れに~
医療技術、医薬品をはじめ、私たちの身の回りにある日用品や化粧品、食品にいたるまで、様々な分野において動物実験が行われているのをご存じでしょうか。動物実験は、あらゆる物質の安全性の確認や医療の進歩のために必要とされている一方で、その残酷さから反対する市民運動が行われるなど、世界的にも廃止の動きが強まっています。動物実験が本当に必要なのかどうか、一緒に考えてみましょう。
Contents
実験には様々な動物が使用されています
公益財団法人日本実験動物協会の発表によると、平成25年度の実験動物販売数は5,387,103頭にものぼります。しかし、日本には実験動物の数を公的に調べる制度がないため、実際の数はもっと多いとされています。イヌ、ネコ、サルは地方自治体で殺処分対象となっている動物を譲り受ける、研究機関で自家繁殖されるケースもあり、実際の数を把握するのは不可能なのが現状です。
平成25年度実験動物販売数
出典:公益財団法人 日本実験動物協会 実験動物総販売数調査 平成25年度
出典(※1):日本生理学会
実験ではどんなことが行われるの?
私たちが毎日、何気なく使用している化粧品やシャンプーなどにも動物実験は行われています。では、実際にどのような実験が行われるのか、その一部を見ていきましょう。
眼刺激性試験
ウサギの片方の眼に試験物質を点眼し、どのような刺激があるかを観察する実験です。ウサギは、眼を手足でこすらないように頭だけが出る拘束器に入れられ、まぶたをクリップなどで固定されたまま、3~4日間も痛みに耐え続けなければなりません。麻酔もかけられていないためあまりの痛みから大暴れして、首の骨を折って死んでしまうこともあります。ウサギは、涙腺の発達が悪いため試験物質が流されにくい、声をあげて鳴かない、大きさが手ごろである、といった理由からこの実験に用いられてきました。しかし、解剖学的、生理学的なヒトの眼との違いや、研究施設間で試験結果にバラつきが多いことなどから、信頼性に欠けるとの批判が多くあります。
皮膚刺激性試験
化粧品の成分によって、皮膚が炎症を起す状態を観察するための実験で、ウサギやモルモットは毛を剃られ、皮膚に試験物質を塗られます。一次刺激性試験と連続刺激性試験があり、一次刺激性試験は3日間、連続刺激性試験は2週間にわたって行なわれます。わざと皮膚に傷をつけられてから試験物質を塗られる場合もあり、炎症を起こし、骨が見えるほど大きくただれることもあります。その他にも、強制的に試験物質を食べさせられる、皮膚にクリームなどの試験薬を塗布され紫外線を当てられる、といった残酷な動物実験が行われています。実験後は全ての動物が殺処分されます。
動物を使用しない実験方法
前述のような試験による動物の苦しみや痛みを軽減するため3R原則という考えが提唱されています。
3R原則は、1959年英国の研修者によって提唱された世界的な動物実験の基準理念のことで、日本では2005年「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正により盛り込まれました。
3R原則
①Replacement(代替法の活用)
動物を用いる試験を、動物を用いない、あるいは系統発生的下位動物を用いる試験法により代替すること。
②Reduction(使用数の削減)
試験法の改良や見直しにより、評価に必要な情報の精度を欠くことなく、実験動物数を減らすこと。
③Refinement(苦痛の軽減)
動物に与える疼痛や苦痛を和らげる、除去する、あるいは動物福祉を向上させるように実験方法を改良すること。
代替法の活用
実験方法は大きく分けて2種類
- 動物実験にあたるin vivo(生体の)試験
- 代替法にあたるin vitro(試験管内の)試験
3R原則に基づきヒト由来の細胞や組織の使用やコンピューターシミュレーションの導入が進められていますが、日本ではまだまだ理解が浅く、大手の化粧品メーカーや医薬品メーカーでは動物を用いた実験が続けられているのが現状です。
世界の動き
化粧品の動物実験や動物実験された化粧品の取引を完全にまたは部分的に禁止した国
- 欧州連合(EU)の28カ国
- ノルウェー
- インド
- ニュージーランド
- 韓国
世界では、化粧品の動物実験を廃止しようとする動きが見られます。
出典:Humane Society International
地球にも人にも優しい商品を選ぼう!
世界の動きを見ても分かるように、海外ではCRUELTY-FREE (動物に苦痛を与えない)な製品への関心も高く、化粧品やパーソナルケア製品を見てみると、動物実験を行っていない証として「認証マーク」が付いているものを多く目にします。日本ではまだ一般的ではありませんが、「何を買ったら良いか分からない・・・。」と思ったら、是非参考にしてみてはいかかでしょうか。
リーピングバニー
動物実験をしない企業、製品に付与される。
IHTK
化粧品の開発、製造にあたって動物実験を行わない、動物由来の成分や動物を殺して得られる原料を使用していないことを認定する団体
Vegan
配合成分・製造工程で使用する原料に非動物系という意味で純粋に植物だけ、または植物と水で作られた製品(化粧品や食品など)に 与えられる認定マーク。
化粧品を選ぶ時に是非ご参考にしてみてください!
動物に優しい化粧品はこちら!
動物実験不実施を掲げている企業リストです。原材料への動物性の使用についてもまとめています。
ヴィーガン子育てプロジェクト
※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。