健康的なヴィーガンライフを送るために必要な五大栄養素の基礎知識


監修 : 谷 智子歯科医師


お子さんや家族の健康の為、地球や動物のためにヴィーガンライフを送っているけれど、本当に体に必要な栄養素が足りているのかな、と心配になった事はありませんか?このコーナーではベジタリアン・ヴィ―ガン(ビーガン)のための菜食栄養学を配信します。まずは、五大栄養素を基礎からおさらいしましょう。

でも、ご安心ください!実は動物性食品の中に含まれている栄養素で、植物から十分に得られないような栄養素はほとんど有りません。それどころか植物性食品の中には、動物性食品よりもはるかに多くの抗酸化物質や食物繊維、ミネラルを含み、栄養が豊富な食品が数多くあります。

今回は私たちが生きる上で欠かせず、そのどれかひとつでも欠けてしまうと、体は上手く機能しないと言われる五大栄養素について一緒に学んでいきましょう。

当サイトでは、今後、五大栄養素の中でも菜食を実践する上で摂取不足に気をつけたい栄養素や、その上手な摂り方について、レシピも併せてご紹介していきます。

五大栄養素とは?

五大栄養素とは、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンを指します。

それでは、一つずつ見ていきましょう。

  1. たんぱく質~体をつくる栄養素~
  2. 脂質~エネルギーとなる栄養素~
  3. 炭水化物~エネルギーとなる栄養素~
  4. ミネラル(無機質)~骨や歯をつくり、体の調子を整える栄養素~(カルシウム・鉄分・亜鉛)
  5. ビタミン~体の調子を整える栄養素~(ビタミンB12・ビタミンD)

 

1.たんぱく質~体をつくる栄養素~

菜食を実践しているとよく「お肉を食べないとタンパク質が不足するよ」と、言われる事は有りませんか?

タンパク質は主にアミノ酸により構成されており、筋肉、内蔵、皮膚、爪、毛髪など、わたしたちの体を作るのに欠かせない重要な栄養素です。一般的にはたんぱく質と聞くと、お肉や卵、乳製品をイメージされる方が多いと思います。しかしながら、人間の体にとって本当に必要なのはタンパク質でなくてアミノ酸。お肉などの動物性のタンパク質も体内で正常な形で吸収されるときには、必ずアミノ酸の形で吸収されます。

アミノ酸はお野菜の緑色の部分や果物にも実は豊富に含まれていますので、動物性のタンパク質を摂取しなければ必ずアミノ酸不足になる、という訳ではありません。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は体内で合成できない「必須アミノ酸」と呼ばれ、それらは食事によって摂取する必要があります。

不足すると・・・免疫力が低下し病気にかかりやすくなるほか、脳の働きが鈍くなり、記憶力や思考力が低下する原因になります。

2.脂質~エネルギーとなる栄養素~

脂質は「脂肪」という形で体内に蓄えられています。二の腕やおなかのぷよぷよした部分がこれ。エネルギーとして利用出来る炭水化物が足りなくなった時に、脂肪1gでなんと9kcalものエネルギーを作ることができます。これは炭水化物の2倍以上の力です。

また脂肪酸は細胞膜の原材料となり、良質の脂質を摂取する事で細胞膜の構造が整います。そうなってはじめて私たちの細胞は効率的に栄養素を吸収し、排泄する事が出来きるのです。このように生きていく上で欠かせない脂質ですが、現代人では飽和脂肪酸の摂り過ぎや必須脂肪酸のバランスの乱れなどが問題視されています。

過剰摂取やバランスの乱れで・・・悪玉コレステロールが増加し、病気のリスクがアップします。
不足すると・・・体を動かすエネルギーがなくなってしまいます。
 

3.炭水化物~エネルギーとなる栄養素~

炭水化物には、消化吸収されるもの(糖質)とされないもの(食物繊維)があります。糖質は、主として脳や体を動かすエネルギーになります。脂質に比べて燃焼が早く、身体に吸収されるとすぐにエネルギーになります。

糖質は、果物、ご飯、パン、麺類のほか、芋などにもでんぷんとして含まれています。

不足すると・・・脳のエネルギーが不足し、集中力の低下を招きます。

4.ミネラル(無機質)~骨や歯をつくり、体の調子を整える栄養素~

植物性食品だけではミネラルが不足すると心配になるのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、実際は植物性食品は動物性食品よりもはるかに多くのミネラルを含んでいて栄養豊富です。

 

4-1.カルシウム

カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯をつくるのに欠かせない栄養素です。体重の1~2%を占めており、そのうち99%が骨や歯、1%が血液中や細胞に存在します。 カルシウムと言えば牛乳や小魚を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はモロヘイヤや大根の葉など、葉野菜にも多く含まれています。

不足すると・・・くる病(子ども)、骨軟化症(大人)、骨粗鬆症、心疾患、高血圧症、動脈硬化など、様々な疾患を引き起こす恐れがあります。

4-2.鉄分

身体に必要なミネラルの一種。鉄分が不足すると貧血になる、ということを聞かれたことのある方は多いと思います。貧血になると、疲れやすくなったり、頭痛や立ちくらみなどの症状を引き起こします。特に女性の場合は生理があるため、男性よりも多くの摂取が必要。こうした鉄分不足を解消するため、一般的には鉄分が多く含まれるレバーや赤身肉などの摂取が推奨されていますが、植物性の食事でも鉄分補給は可能です。

不足すると・・・疲れやすくなったり、肌荒れ、頭痛、立ちくらみなど様々な症状を引き起こします。

4-3.亜鉛

亜鉛は、味覚を正常に保つ作用があるほか、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。新陳代謝に必要な反応に関係する多種類の酵素をつくる成分となるほか、たんぱく質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写に関わっています。このため、細胞の生まれ変わりが活発なところでは亜鉛が必要とされます。主に、骨、肝臓、腎臓、筋肉に存在します。 松の実やごま、凍り豆腐などにも多く含まれています。

不足すると・・・味覚、免疫機能の低下を招く他、正常な細胞分裂が行われなかったり、生殖機能への影響も挙げられています。

5.ビタミン~体の調子を整える栄養素~

植物性の食品だけを摂取する場合、特にビタミンB12、ビタミンDの摂取が不足しがちだと言われていますが、実はこれらの栄養素は動物性の食品を摂取する食事でも不足する可能性がある栄養素です。

5-1.ビタミンB12

ビタミンB12は実は細菌の代謝産物で、植物性と動物性の両方の食物中の細菌や健康な人の腸内細菌で産生されます。しかしながら、近代農業が発達し殺虫剤や化学肥料が使われるようになり土壌の細菌がいなくなった為に現代人はビタミンB12不足の危険性にさらされています。

摂取推奨量はごくわずかですが、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助けるのに欠かせない栄養素です。レバー、肉、魚、チーズ、卵などの動物性食品に多く含まれており、近代農業で育てられた植物性食品にはほとんど含まれていません。動物性食品や栄養分を一切摂らないヴィーガンの方はビタミンB12の欠乏症が心配されますが、ニュートリショナル・イーストなどのサプリを上手に活用することで、摂取不足を解消することができます。

不足すると・・・悪性貧血、精神障害、睡眠障害、食欲不振などの症状を引き起こします。

5-2.ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収には不可欠な栄養素です。ビタミンDはコレステロールから紫外線(UV波)を浴びると皮膚で生成されるため、最近はホルモンとも言われています。しかしながら現代人では日光浴の時間が不足しているのでビタミンDも不足しがち。

地域性や生活習慣的に日照時間が少ない場合は、サプリメントが推奨されることもあります。

不足すると・・・カルシウムの吸収が不十分となり小児の場合は「くる病」、成人の場合は「骨軟化症」を引き起こします。

ヴィーガンの方の中には、動物性のものを食べないようにはしているけれども、ベジタリアン向けのインスタント食品やスナック菓子など、いわゆる“ジャンクベジ”に偏ったり、特定の食材に偏ってしまい健康を害してしまう、という話も時々聞きます。 そのようなことにならないためにも、賢く学びながら、健康的なヴィーガンライフを送っていきましょう!

ヴィーガン子育て編集部

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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