「もの」と「想い」を回そう!<回る周るハウス>から子どもたちに伝えたいこと #長野市 

2020年7月、長野市にオープンした<回る周るハウス>は、洋服や靴だけでなく、学用品等を物々交換ができる場所です。“あまりにも保護者負担の大きい「子育て費用」や「教育費」をなんとかしたい”という願いからできた「回る周るハウス実行委員会」(代表・小宮山綾乃さん)から始まりました。

活動当初は公民館や子ども食堂などへの出張形式で行われていましたが、洋服などたくさんの物品が集まってきて運搬がたいへんになったことや、不定期だと利用しにくいという利用者の声もあり、もともと倉庫として使われていたところを改装。毎週日曜日に開いています。回る周るハウスでいつも温かく出迎えてくださる事務局の小林啓子さんにお話を伺ってきました。

「豊かな人が足りない人にあげる」のではない

回る周るハウスでは、SDGs目標1(貧困をなくそう)目標4(質の高い教育をみんなに)目標11(住み続けられるまちづくり)目標12(つくる責任つかう責任)に貢献したいと考えています。

そのために、ただの物々交換ではなく、もちろん不用品処理でもなく、利用する人がこの目標にかなった使い方をしてほしい、という想いで、<利用のお約束>を設けています。

<利用のお約束>
・新品でなくても十分使えるものはみんなで大事に使いましょう
・SDGsの目標12は、地球上の資源を必要なだけ大事に使うことです
・一回に手提げ2個まで持ち帰れます
・今必要なものを必要な分だけ持って帰りましょう
・リサイクル店への転売は禁止です
・大事に使って、また次の人に回せるようにしてください

豊かな人が足りない人にあげる、という感覚は、回る周るハウスが目指しているものとは異なります。「“使ってもらうことで自分のモノが生きる”というお互いのための<回る周るハウス>になれば良いなと思います」(小林さん)という想いのもと、2020年7月にオープン以来、毎回家族連れなど30人以上が訪れています。

次に使う人のために丁寧に使う

回る周るハウスには学校で使う習字セットや絵の具セット、辞書、他にはノートや鉛筆など一般的な文房具類も豊富に用意されています。

全て「使わなくなったから」と提供されているもので、少し手入れをすればまだまだ使えるものがたくさんあります。個人の持ち込みのほかに、生協・医療生協などが組合員さんから集めてくれたり、フードバンク信州に企業から提供された物もあります。また、東京世田谷の「くるくるひろば」さんからも品物をご提供いただいています。

次に誰かに使ってもらえるように、という意識があれば、物を丁寧に使えるようになります。

教育に必要なものは色々あります。「義務教育」とは言え、こうした学用品を全て購入していたらかなりの金額になります。使えるものがあるならそれを使う。そういった考え方が学校現場にももっと浸透していったら良いのではと思います。

子ども用礼服のレンタルもされています。一回だけのために購入するのも…と感じる方も多いのではないでしょうか。そんな時に、こうしたレンタルを利用できることはとても有難いですよね!

「壊れたら、破れたらまた買えば良い」という考えから、「次にまた他の人に使ってもらえるように大切に使おう」という意識が広がっていったら、世の中の消費の在り方、経済の仕組みそのものも変わっていくはずです。

人は人、自分は自分。比べなくても大丈夫!

たくさんの親子連れが訪れる<回る周るハウス>。楽しそうに文房具を見て回る子どもたちの様子がある一方で、中には、“ここで学用品を持っていったけれど、みんなが持っているものと違うと悲しむお子さんもいた”とのこと。学校では「みんな一緒」という雰囲気も強く、子どもも親もいつの間にか周りと合わせようとしてしまっているということもあるのではないでしょうか。

「人は人でしょ!」と言っても、そう簡単に線引きができることではありません。周りと違うということに不安を感じるのは大人も一緒です。他人軸で生きるのではなく、自分は自分、と強い軸を育てていくために大切なことは、小さい頃からの言葉がけ。「そこにいることに価値がある。あなたのままでいいんだよという言葉を子どもへ伝えていくことが大切です」という小林さんのメッセージは、親だけに向けられているものではなく、子どもに関わる周りの大人一人ひとりがもっと意識をしていくべきことではないかと感じました。

感情をもっと豊かな言葉で表そう

小林さんがこの活動を続けられている中で最近感じられていることは、子どもたちの表現力の乏しさ。うざい、やばいといった簡単な言葉でなんでも表そうとしてしまいがちですが、これも結局大人の影響が大きいのではないかとのことでした。

例えば綺麗な夕焼けが見えたとします。

その時、どのような言葉で気持ちを表しますか?

「綺麗だね~!」

この一言で終わらせてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。

その場合はもう一言。

「綺麗だね~、気持ちが落ち着くね」

このように一言追加するだけで表現の奥行きはぐっと広がります。

身近にいる大人が言葉を丁寧に使っていれば、それは自然と子どもたちにも伝わっていきます。

気持ちを表現する、ということは、ただ「その時の気持ちを伝える」だけに留まりません。自分はどう思っているのか、どうしたいのか、ということに向き合うことは、自分の人生を切り拓いていく上でとても大切な力になります。そして、「人は人、自分は自分」と思える強さもここから育まれます。

忙しい毎日かもしれませんが、一日の中で一瞬でも立ち止まり、自分の気持ち、子どもの気持ちを言葉にできる時間を取れたら、一日の過ごし方も変わってくるのではないでしょうか。

「もの」と「想い」を回す<回る周るハウス>。「もっとみんなで子育てのことを色々話せる場所も作っていけたらと思っています」と小林さん。どんな気持ちも温かく受け止めてくれる場があったら、気持ちはきっと楽になるはずです。こういう場がもっと広がっていったらと願っています。

回る周るハウス、お近くの方はぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。

場所:長野県長野市大字南長野西後町625−6 ヤマニビル2階

お問い合わせ:090-3806-9332

ヴィーガン子育て編集部

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