【給食を知ろう】地域による放射性物質検査、お弁当の選択可否などの違いは?

学校給食の現状について考える【給食を知ろう】シリーズ。今回は各自治体の取り組みについて見てみたいと思います。

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放射性物質や農薬など、食に対しては様々な考え方があります。国が安全だと言っているものは安全、とする考え方がある一方で、その基準値や検査方法への不安はまだ残っています。ただ、大半の人が「問題ない」と考えている中で、こういったことに対して心配の声をあげると、「変わった人」「神経質」と見られがち。農薬や放射性物質、遺伝子組み換えなどについて、「何が正しいのか」「何が真実なのか」といったことについては、人それぞれ信じているものは違います。国が安全だと言っているものは疑ってはいけない!という話でもありません。

「あなたは安全と思っているかもしれないが、私は心配です。だから、こういう選択をします。」という考え方がもっとあっても良いのではないかと思います。

そこで、まずは現状を知るためにも、私たち(社)世界マザーサロンは、2016年2月から1年をかけて、「日本全国給食リサーチプロジェクト」(以下、リサーチプロジェクト)を立ち上げ、日本全国の自治体を対象にその取り組みについてヒアリングを行ってきました。

ヒアリングにおいては多くの方のご協力をいただき、169の自治体より回答をいただきました。ご協力をいただいた皆様には、心より感謝申し上げます。

仕入れ先エリア、放射性物質検査状況、給食の自由選択など

今回のリサーチプロジェクトでは、以下の項目についてヒアリングを実施しました。

①仕入について
仕入先エリア / 産地表示の有無 / 仕入先の選定方法  / 仕入先についての監査 / 仕入先の見直し規定 / 農薬、肥料の使用についての考え方

②放射性物質の検査状況
測定基準 / 検査実施機関 / 使用機材 / 検査の頻度 / 検査対象 / 検査内容の報告

③添加物の使用状況

④遺伝子組み換え食品への考え方

⑤アレルギー、思想による給食の自由選択について

⑥独自の取り組みについて

同じ県でも自治体によって、その考え方は様々。以下で主な内容について見ていきたいと思います(尚、データは2016年2月から2017年2月時点のものです。公開許可をいただいた自治体のみ、自治体名を記載しています)

仕入先は地産地消を優先

学校給食の仕入れ先は地産地消を優先

仕入先については「地産地消」を掲げているところが多くありますが、特に最近は給食センターが大型化し、大量に仕入れるケースも増えていることから、市外産、県外産へとエリアを広げて仕入れを行うケースが多く見られました。優先はするものの、その比率が必ずしも多いというわけではありません。

自治体の取り組み状況を一部ご紹介します。

自治体の仕入れ状況(一部抜粋)

自治体名が緑の自治体はサイトにリンクしています。

北海道富良野市

野菜・・・地場産を最優先→管内産→道内産→道外産
生鮮食品・・・国内生産のもので山地が明らかなもの
加工食品・・・主原料が国内生産のもの
米・・・地元及び近郊のもの
パン・・・道産小麦100%使用

青森県八戸市

食材の仕入れは、全市分を八戸市教育委員会でとりまとめて購入している。地元食材の使用を推奨しており、米飯は八戸産米「まっしぐら」を100%、牛乳は青森県産乳を100%、小麦パンは青森県産小麦「ゆきちから」を100%使用している。その他食材についても、一部食品を市内産・県内産に指定したり、納入業者へ対して、市内産・県内産を優先して納入するよう要請したりしている。

東京都文京区

食材はできるだけ国産のものを使用するようにしている。また、地産地消の取り組みを推進するために、東京産の食材を使用するようにしている。

千葉県流山市

給食食材の選定に際しては、国内産を優先するのようにしている。また、地産地消の取り組みから流山産の野菜を使用するようにしている。

福島県喜多方市

地元業者を優先。地理的に業者が限られるため、エリア等の取り決めはなし。また、地元生産者からの仕入を推進している。

滋賀県草津市

食材はできるだけ国産のものを使用するようにしている。また、地産地消の取り組みを推進するために、東京産の食材を使用するようにしている

大阪府豊中市

給食食材の選定に際しては、国内産を優先するようにしている。また、地産地消の取り組みも行っている。 高知県高知市 米は県内産、鮮魚、肉、青果については、できるだけ県内産としている。

中国産はできるだけ使わない、という回答もありましたが、中国だけでなく、海外産の食材の利用も多く、給食のあり方を考えることは、今の日本の自給率について考えるきっかけにもなるのではないかと思います。

産地については、市のウェブサイトで公開したり、各学校内の掲示板で毎日公開しているところもあります。公開・非公開は各自治体、学校の判断に委ねられているようですが、問い合わせをすれば回答はしてもらえます。

尚、仕入先の選定方法については、市や町が一括して選定していたり、各学校で選定していたりと色々ですが、決められた期間ごとに入札を行い、決定されています。

基本的には「市場に出ているものは安全」が前提

 基本的には「市場に出ているものは安全」が前提

放射性物質、農薬、添加物、遺伝子組み換えなど、基本的に仕入れは市場に出ているものは安全という前提のもと行われています。石川県羽咋市のように、「自然栽培」に注力しているところも出てきていますが、ここまで大きく変えていくためには、市や農協などが一体となって動いていかないとなかなか変わりません。

遺伝子組み換え食品の利用については、「取り決めはしていないが使わないようにしている」と回答された自治体が多くありました。遺伝子組み換え食品の動向については、別記事で取り上げてみたいと思います。

放射性物質の検査状況は?

次に、特に問い合わせの多かった放射性物質の検査状況について見てみましょう。

2011年3月11日の東日本大震災から早7年が経ちました。離れた地域で生活をしていると、既に過去のことのような感覚になりがちですが、震災の傷跡はまだ多く残されています。そして、原発の問題もまだ解決されないまま続いています。

放射性物質の基準については色々な考え方があります。国が決めた基準であれば安心、という考え方、基準はゆるすぎるから危険、という考え方。最終的に消費者がどう考え、判断し、選択するかに委ねられています。

今回、回答をいただいた169の自治体中、48の自治体が、放射性物質の独自での検査は「特にしていない」と回答。基本的に、一般に出ているものは安全、という考え方からです。

「実施している」と回答された自治体でも、自治体全体で年に7回、というところから、1ヶ月に1回、学期ごとにサンプル調査で1回実施しているところ、週に1回実施しているところ、とその状況は同じ県でも様々です。福島県内の自治体については、毎日検査を行っているというところも多く、問題への意識の高さが伺えました。

基準値についても、国が定めている100bq/kgに基づいて進めているところが多い状況ですが、福島県内の自治体の他にも独自で10bq/kgや20bq/kgと基準を厳しくし、検査を行っているところもあります。

(参考)
国が定めている放射性セシウムの基準値(ベクレル/kg)
一般食品  100
乳児用食品 50
牛乳    50
飲料水   10

給食は選択できます!

給食は選択できます!

今回の調査の中で、ある自治体の方から「学校は集団生活を学ぶ場なので、できればみんな同じものを食べてほしい」というお話をされたことがありました。「集団生活=みんな同じ」ーー今の学校教育の状況がここに表されていると感じました。

給食の選択については、例えば、宗教上の理由、ヴィーガンなどの思想上の理由によって給食をやめ、完全にお弁当にする場合は、仮に最初に給食代金を引き落としされたとしても、最後に返金されます。ただ、これが「牛乳のみ」となると、止めることはできても返金されない、といったケースもよく耳にします。

ある自治体の学校給食関係者に、「例えば放射性物質が心配であるとか、牛乳の体への影響を考えて飲ませたくない、というご家庭も増えてきているが、そういった理由で牛乳をとめた場合、返金されるのか」という質問をしたところ、「こちらとしては、安全であり、体にも良い、という前提で提供をしている。そういった意見を認めると、こちらの前提を壊すことになってしまうことにもなりかねない。そこは学校側と保護者の間で十分に相談してほしい」とお話されていました。

アレルギー以外の理由で給食をお弁当にすることは可能か、という質問に対する回答を一部ご紹介します。

アレルギー以外の理由で給食をお弁当にすることは可能か、という質問に対する回答

冒頭でも述べたように、現状を大きく変えるということは非常に難しい状況です。ただ、選択はできます。中には原則給食、というところもありますが、他の自治体でできていることであれば、どこでも可能なはずです。こうでなければいけない、みんなと同じでなければならない、という固定観念を壊してみると、色々な選択肢が見えてきます。もしその際に学校側との話し合いがうまくいかない、というような場合は、ぜひお気軽にこちらへご相談ください。

学校が行っている様々な工夫

ただ、色々な課題がありつつも、学校給食は保護者にとって大きな助けになっています。学校側も、子どもたちに美味しい給食をと様々な工夫をされています。学校給食について、単に出されたものを食べる、というだけでなく、もっと関心を持ち、子どもたちにとってどのような給食のあり方が理想なのか、教育関係者側と対話の機会を増やしていけたら、給食のあり方も変わってくるのではないでしょうか。

学校が給食で行っている様々な工夫

集団生活というのは、色々な価値観を持つ人たちが一緒に生活をすることを意味します。今後は海外から引っ越してくる人も増えてくるでしょう。そうした時「みんな一緒」にすることに力を入れるのではなく、もっと柔軟に、それぞれの考え方に合わせて「選択しやすいようにする」ということが、これからはもっと求められるのではないかと思います。

これまではこうだった、というのは、変えられない理由にはなりません。

一人ひとりが自由に、我慢せず、生きていけるようにするために、私たち保護者も一緒に考えていけたら良いですね。

たかが給食。されど給食。

お住まいの地域の現状について知りたいという場合は、こちらまでいつでもお気軽にお問い合わせくださいね!

ヴィーガン子育て編集部

【給食を知ろう】シリーズ、前回までの記事もぜひお読みください!

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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