カルシウムの吸収UP!ビタミンDを多く含む食品と日光浴のポイント


監修 : 谷 智子先生


ベジタリアン・ヴィ―ガン(ビーガン)のための菜食栄養学。今回はカルシウムとビタミンDです。
ビタミンとは体内で合成できない必須の栄養素です。しかしながらビタミンDは、日光に当たる事により皮膚で合成されるため、最近はカルシウムを調整するホルモンとも言われています。

このビタミンDが不足するとカルシウムの吸収が不十分となり、小児の場合は「くる病」、成人の場合は「骨軟化症」を引き起こすと言われています。しっかりした骨を作るためにも、積極的に外で遊ぶ習慣を作りましょう!

関連記事:モロヘイヤや大根の葉など葉野菜にも「カルシウム」は豊富! 野菜をしっかり食べて丈夫な骨を作ろう!~カルシウム吸収のために抑えておきたいポイントもご紹介します♪~ 

ビタミンDが不足するカルシウム不足に

ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を2-5倍程度に増加させる、という役割があります。ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても充分に吸収されず、身体がカルシウム不足になってしまいます。 

そして血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムを溶かしだして供給するようになります。その結果、骨の強度が低下して曲がりやすくなり、成人の場合は「骨軟化症」といった症状を引き起こします。また小児の場合には「くる病、多数歯の虫歯、骨折しやすくなる」などの症状を引き起こします。

ビタミンDは最近では、カルシウムの代謝に関わる作用だけではなく「骨外作用」としてナチュラルキラー細胞などの活性を高めるため癌の予防や感染症の予防や、インスリンの分泌を調整し糖尿病などの自己免疫疾患の予防にも働いていると言われています。 

ビタミンDは食事と日光浴からしっかり合成日光浴不足でビタミンD不足の乳児も増加

ビタミンDは日光紫外線による合成と食事から摂取が可能です。ただ、ビタミンDは、きのこ類や脂身の魚類に多く含まれていますが、その他の食品には少ししか含まれていないため、多くの人は、日光紫外線に依存しているのが現状です。 

一方、日焼けを避ける若年女性が増えたことにより、ビタミンD欠乏状態の妊婦や、生後の日光浴不足によりビタミンD不足になる赤ちゃんも増えています。

赤ちゃんから大人まで、1日あたりのビタミン摂取目安を知っておこう 

摂取量はわずかですが、産まれたばかりの赤ちゃんでも一定量が必要です。また、妊娠中、授乳中は必要とされる摂取量が多くなります。

1日あたりのビタミンD摂取目安量(μg/食) 

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準2015年版』 

日光浴で生成されるビタミンDは?

国立環境研究所のレポートによると、“両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしないと必要量のビタミンDを生成しないことが判った”とのこと。 

成人が1日のビタミン摂取量の目安とされる5.5μgのビタミンDを、全て日光照射によって体内で生成させるとした場合に、必要な日光照射時間を計算したものが以下の表です。是非、参考にしてみてください。

(国立環境研究所:5.5μgのビタミンDを生成するのに必要な各地・各時刻での日光照射時間) 

出典:https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html 

紫外線による皮膚がんの影響は?

日光の紫外線にはUV-A、UV-B、UV-Cがあります。このうちビタミンDを生成させる紫外線はUV-Bで、同時に日焼けの原因であるメラニン色素も生成します。紫外線を浴びると皮膚ガンになると言われて久しいですが、皮膚ガンの発生率は人種による差があります 

そもそも紫外線と皮膚がんの関係は? 

紫外線を浴びることにより、基底細胞の遺伝子が傷つきます。基本的には、傷ついた遺伝子は修復されますが、大量の紫外線を浴びて多量の傷ができた場合、この中に遺伝子の傷が間違って修復されるものが出てきてしまい、これが皮膚がんの原因になります。 

特に白人種での発生率が高いと言われており、オーストラリア人と黄色人種との比較では、前者の方が100倍も皮膚ガンになりやすいという統計のデータもあります。しかしながら、これらのデータでは食生活との関連性は考慮に入れられていません。

もしこの統計に食生活の違いが考慮されていたとしたらどうなるでしょうか?背景には肉を多く食べ、生野菜や果物そして発酵食品などが足りず、フィトケミカル(※)不足があり、それがガンの原因になっている可能性も考えられます。(動物性蛋白質とガンの関係はコリンキャンベル先生の著書「葬られた『第二のマクガバン報告』」を参考にしてください。)

そう考えると、抗酸化物質や酵素などのフィトケミカルたっぷりの食事を食べて、日光を浴びれば、日光浴によるマイナスの側面である遺伝子の間違った修復を抑えられるようになります。また、ビタミンDが生成される時には紫外線のUV-B波に直接当たる事が重要です。ですから、窓ガラス越しや日焼け止めを付けて日光浴をしてもビタミンDを生成させる効果はないので、覚えておくと良いでしょう。
(※フィトケミカルとは、植物に存在する天然の化学物質のこと。植物栄養素とも呼ばれています) 

ビタミンDはきくらげやきのこ類に 

ビタミンDには本来6つの種類があります。しかし生体内での効用が高いのは、ビタミンD2とビタミンD3です。ビタミンD2はきのこ類などの植物性の食品に多く含まれています。一方ビタミンD3は魚などの動物性の食品に多く含まれます。またD3は紫外線に当たる事により、皮膚で作られます 

カナダのアカディア大学の研究によれば、ビタミンD2はビタミンD3の40〜50%の活性しか持っていないので、ヴィーガンの食事習慣を選択した場合は、ビタミンD2の摂取に加えて日光浴が極めて重要な意味を持つ事になります。 

一食あたりに換算したビタミンD含有量

(出典:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl 

日光浴ときのこ類などの食材も上手に摂り入れ賢くビタミンDを摂取していきましょう!!

手軽に栄養補給を♪~オススメレシピ~ 

カルシウム×ビタミンD 

切り干し大根と干し椎茸の煮物 

カルシウムを豊富に含む切り干し大根に、椎茸のビタミンDを合わせ吸収率アップ。お弁当のおかずにもぴったりのレシピです。

【参考資料】

・鶴見酵素栄養学セミナー 2015年度
医学と栄養学の真実の講座
第7回 ビタミン、病気の治し方

・HEALTH REPORTS
Anserts for Healing
Reverse Osteoporosis & Increase Your Bone Density
http://www.health-reports.com/osteoporosis.shtml

ヴィーガン子育て編集部

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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