菜食の栄養

タンパク質不足が心配なヴィーガン子育てママが知るべき最新栄養事情


監修 : 谷 智子先生


「地球環境や動物たちに優しいヴィーガン(完全菜食)の食習慣には興味はあるけど、成長期の子ども達や家族の健康を考えると植物性の食品だけでタンパク質が足りているかどうかは心配!」という方は多いと思います。ベジタリアン・ヴィ―ガン(ビーガン)のための菜食栄養学。今回はタンパク質についてご一緒に考えていきましょう!

タンパク質の働きとは?

タンパク質はなぜ私たちの体に必要なのでしょうか?

タンパク質は三大栄養素のひとつで、主にアミノ酸により構成されており、筋肉、内蔵、皮膚、爪、毛髪など、わたしたちの体を作るのに欠かせない栄養素です。

タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は体内で合成できない「必須アミノ酸」と呼ばれ、それらは食事によって摂取しなければなりません。 タンパク質が不足すると、免疫力が低下し病気にかかりやすくなるほか、脳の働きが鈍くなり、記憶力や思考力が低下する原因にもなります。

たんぱく質はなぜ私たちの体に必要なのでしょうか?

厚労省が発表している「1日あたりのタンパク質摂取基準」は本当に健康に良いのでしょうか?

厚生労働省によると、日本人が1日あたりで摂取すべきタンパク質の推奨量は、成人男性で60g、成人女性で50gとされています。男女ともに12~17歳の成長期に摂取推奨量は増加します。 1日あたりのタンパク質摂取推奨量(g/日)

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準2015年版』 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html

しかしながら、これらの摂取量は本当に適正なのでしょうか? 実はそうではないという意見もありますので、ご紹介します。 前述したように、現在厚生労働省が推奨している1日のタンパク質摂取量は女性で50グラムとされていますが、一方で現在推奨される1日のタンパク質の摂取量は多すぎる可能性があるという意見もあります。その理由をハーヴィ―・ダイアモンド博士は著書「フィット・フォー・ライフ」で説明しています。

現代人がタンパク質過剰になっている理由とは?

以下がその要点です。(フィット・フォー・ライフより引用)

1. 人間のタンパク質の老廃物の70%が体内で再利用されている。
2. 人体は便、尿、髪、皮膚、発汗等を通して、一日に約23gのタンパク質しか失わない。だから、現在推奨されているタンパク質の量は多すぎる。

つまり1日の必要量は、失われるタンパク質23gを補うだけで充分。それ以上摂取しても、体は余剰分を排泄しようと試みる為、体内組織に重い負担がかかる事になります。さらに問題は、余剰に摂取したタンパク質が体のエネルギーを奪うどころか、有害な老廃物として体内に蓄積されてしまうこと。私達は、タンパク質が最も重要な栄養素だと信じ込まされてきていますが、その考え方こそ誤りであると、ハーヴィー・ダイアモンド先生は言い切っています。

WHOもタンパク質の過剰な摂取は有害と報告

WHO(世界保健機関)も2007年に、タンパク質の過剰な摂取は腎疾患や糖尿病性腎症を悪化させると報告しています。その報告では、炭水化物とタンパク質の摂取量を10段階に分けて分析し、炭水化物の摂取量が1段階減り、タンパク質の摂取量が増えるごとに、心筋梗塞や脳卒中発症のリスクが4%ずつ増加する、と書かれています。

つまり、低炭水化物・高タンパク質のグループではそうでないグループに比べ、これらの疾患の発症の危険性が最大1.6倍増加したと報告しているのです。また、スイスのバーゼル大学の生理学者グスタフ・フォン・ブンゲ博士は、肉を食べると含硫アミノ酸作用で体を酸性にするので、アルカリ性のミネラルを摂取する必要性があると報告しています。

さらに、2002年にWHOもカルシウムの摂取量が多い国に骨折が多い「カルシウム・パラドックス」の理由として、カルシウムの摂取量が多くても、動物性タンパク質の摂取により体が酸性に傾き中和するために、体のミネラルが逆に奪われる悪影響の方が大きいという報告をしています。

タンパク質の消化吸収にはミネラルが大切!

タンパク質の消化吸収を考えた時、食品から摂取したタンパク質は消化酵素によってペプチド、アミノ酸に分解され、必ずアミノ酸の形で小腸上皮から吸収されます。こうして吸収されたアミノ酸は血液によって組織や筋肉などに運ばれ、そこで体に必要なタンパク質が合成され、血液、筋肉、酵素、ホルモンなどが作られます。

この消化吸収の時、タンパク質は必ず16%の窒素を持っているので、その過程でアンモニアを生成して尿が生成されます。その過程で作られる酸の中和や代謝の為にはカルシウムをはじめとした、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB6、ビタミンCなどのミネラルが必要です。 それらの栄養素の補給として、果物や緑の野菜の摂取はとても強い味方になります。

たんぱく質の消化吸収にはミネラルが大切!果物と野菜

最新の栄養学では大豆のアミノ酸スコアは100!でも過剰摂取は要注意

体内で合成できない必須アミノ酸は9種類(※1)

次の9種類は体内で合成できない必須アミノ酸です。この全てを含むものを「完全タンパク」、9つの内1つ以上のアミノ酸が欠けているものを「不完全タンパク」と呼びます。

・バリン・イソロイシン・ロイシン・メチオニン・リジン(リシン) ・フェニルアラニン・トリプトファン・スレオニン(トレオニン)・ヒスチジン

タンパク」について語られる時、「アミノ酸スコア」というものが出されることがあります。
これは、食品の「窒素1gあたり」に占める必須アミノ酸が基準値と比較してどれだけ含有されているか、を数値化したものです。上限を100とし100に近い数値であるほど必須アミノ酸がバランスよく含まれている良質なタンパク質と見られます

アミノ酸スコアが100として有名な食品は卵。
植物性食品のアミノ酸スコアはあまり高くないと言われていますが、実は1985年以降、86と言われていた大豆のアミノ酸スコアは100とされました。 アミノ酸スコアが86と言われていた当初は、メチオニンとシスチンが少ないとされていましたが、その実験ではネズミを使った事で体毛に栄養分が取られる事を考慮せずにスコアの算定がなされました。体毛のない人間の場合には実は大豆食品はアミノ酸スコアでも100点という理想の値であった事が判明しました。

しかしながら、いくら大豆のアミノ酸スコアが100点満点だからと言って、タンパク質の過剰摂取は体に負担をかけます。食べ過ぎて消化不良をおこしては元も子もありません。
アミノ酸スコアは一つの目安にはなるかもしれませんが、これが全てというわけではありません。 多種類の植物性食品をバランスよく摂取することを心がけましょう!

納豆や味噌、ブロッコリーなど緑野菜もアミノ酸が豊富!

前述のように、タンパク質の栄養価が高いということは、必須アミノ酸が全て含まれていることを意味します。

ところがそのタンパク質において、最も含有量が少ないアミノ酸のことを「第一制限アミノ酸」と言います。例えば小麦ではリジン。トウモロコシではトリプトファンです。 アミノ酸摂取を特定の食品に頼ってばかりいると、特定の疾患にかかりやすくなります。トリプトファン欠乏症では「ペラグラ」という代謝内分泌疾患に罹りやすくなります。

こういったことを防ぐためにも、多種の植物性の食品を組み合わせてアミノ酸を摂取する事がとても大切です。 もちろん昔はこうしたアミノ酸の知識はありませんでしたが、メキシコでは豆と米やトウモロコシ、日本や中国では米と豆腐、インドでは米と豆などアミノ酸バランスにかなった食事をしてきました。世界各国の母たちの知恵は素晴らしいですね♪

アミノ酸豊富な発酵させた大豆製品

日本には納豆をはじめ、味噌やてんぺなど、大豆由来のものや緑野菜も豊富にあります。発酵させた大豆製品は消化吸収も良くお子さんの成長にとっても優れた食品です。こうした食品を上手に組み合わせ、しっかり摂取していきましょう。

また、いま大人気の大豆ミートを使って、からあげやハンバーグなども作れます。
<関連記事>大豆ミートは栄養満点!お肉の代わりの大定番〜戻し方のコツとレシピ〜

各食品に含まれるタンパク質の含有量は?

1食あたりに使われる大体の量から含有量を算出すると、タンパク質の含有量は以下の通りです。
1食あたりのタンパク質含有量(単位:g)

出典:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

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蛋白質はもとより、各種ビタミン、必須アミノ酸(中でも注目すべきはギャバ)、サポニン、イソフラボン、レシチンなど、発酵させることにより体に吸収しやすくなります。そのままサラダとして、焼いて、揚げて、煮て使う事が出来ます。賞味期限は1年間あります。未開封の場合冷蔵にして1カ月の賞味期限があります。

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大豆は「国内産有機丸大豆」、凝固剤には「にがり」(塩化マグネシウム)を使用し、膨軟剤(重曹)を使わずに手間ひまかけて製造した凍り豆腐です。膨軟加工をしておりませんので、多少歯ごたえのある、昔のままの風味・食感です。(丸大豆を使用しているため台紙に油分が付着していることがありますが、品質には問題ありません)

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’’手軽にしっかり栄養補給’’おすすめレシピ

「不完全タンパク質」と呼ばれる植物性タンパク質ですが、必須アミノ酸を含む食材と一緒に摂ることで、足りないアミノ酸を補い、体内で効率的にタンパク質を合成させることができます。
こちらのレシピも是非参考にしてみてください!

・小松菜のグリーンスムージー

タンパク質が豊富な小松菜と必須アミノ酸を豊富に含むヘンプやフラックスシードを一緒に摂ることで、タンパク質の合成を助けることが出来ます。

・十割蕎麦

蕎麦は、9種類の必須アミノ酸を含む食品です。その他にも、成長ホルモンの合成に必要なリジン、ビタミンB群が豊富に含まれています。小麦を使用していない、十割蕎麦を選ぶと良いでしょう。

・キヌアのカラフルサラダ

キヌアには、タンパク質が豊富に含まれており、必須アミノ酸を含むヘンプやフラックスシードを一緒に摂ることで、たんぱく質の合成を助けることが出来ます。

(出典:※1 アミノ酸 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)) (出典:※2 日本食品分析センター http://www.jfrl.or.jp/jfrlnews/files/news_no46.pdf

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ヴィーガン子育て編集部

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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