カルシウム不足の本当の原因を知っていますか?骨粗鬆症を防ぐ食事のポイント


監修 : 谷 智子歯科医師


菜食で子育てをしていると、「子どもの背が伸びないから牛乳を飲みなさい!」って言われた事はありませんか?でもそれって本当でしょうか?ベジタリアン・ヴィ―ガン(ビーガン)のための菜食の栄養学。今回はカルシウムについて見ていきましょう。

「カルシウム」と言えば、「牛乳」や「小魚」を思い浮かべる方が多いと思います。そのため、ヴィーガンの食事ではカルシウム不足を心配される方の声を多く耳にしますが、実はカルシウムはモロヘイヤ、大根の葉っぱなど、葉野菜にも多く含まれています。ここでは、植物性の食品に含まれるカルシウムと、その上手な摂取の仕方についてご紹介します。

カルシウムは骨や歯を作るのに欠かせない栄養素!

カルシウムは、骨や歯をつくるのに欠かせない栄養素です。体重の1~2%を占めており、体内には一番多く含まれるミネラルです。カルシウムは99%が骨や歯、1%が血液中や細胞に存在します。不足すると、骨粗鬆症、心疾患、高血圧症、動脈硬化など、様々な症状を引き起こす恐れがあります。また体の症状だけでなく、イライラしたり精神が不安定になったりすることもあります。

赤ちゃんから大人まで、1日あたりのカルシウム摂取目安を知っておこう

骨の成長に不可欠なカルシウムは、成長期にあたる8歳から14歳頃までその摂取推奨量が増えることが分かります。 1日あたりのカルシウム摂取推奨量の目安は以下の通りです。

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準2015年版』のデータをもとに算出

骨や歯の健康のためにも野菜をしっかり摂る習慣を!

学校や幼稚園では、積極的に牛乳や乳製品を摂取するように言われることが多くありますが、カルシウムは以下の表にあるように、野菜からも充分に摂取は可能です。日常の食事の中に上手に取り入れていきましょう。

1食あたりに換算したカルシウム含有量

出典:食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.plより算出

骨を強くするためにはカルシウムだけでは不十分!カルシウム吸収のために大切なこと

骨を強くする上で必要なものとして「カルシウムの摂取」ばかりが注目されますが、実はカルシウムだけでは不十分なのです。カルシウム吸収に影響する主な要因をご紹介いたします。

1.動物性のタンパク質とカルシウムの代謝の関係~実はお肉を食べるほどカルシウムは不足する!

カルシウム不足で骨が弱くなる過程には、運動不足、日光に当たらない生活、その他いくつもの要因が関わっています。骨を丈夫にするためにはもちろんカルシウムが重要である事は確かですが、それだけでは骨粗鬆症は説明仕切れません。世界にはカルシウムの摂取が極端に少ない地域もありますが、死ぬまで骨粗鬆症にかかる事なく丈夫な骨を維持している民族もいます。

例えばアフリカのバンツー族などは、時々肉をほんの少し食べるくらいでほとんど植物性の食品だけで生活しており、1日の平均的なカルシウムの摂取量はわずか220〜440mgです。しかも女性は生涯に7〜8回も出産し、3歳まで母乳育児をしています。

常識的な見方をすれば、閉経期になればカルシウムが不足して骨粗鬆症だらけになっても良さそうなものですが、この民族の女性には骨粗鬆症などは見当たらないと言います。これはカルシウムの摂取と排泄のバランスがこの種族の女性はしっかり取れている事を意味しています。

実は、カルシウムの排出をもっとも多くするのは動物性たんぱく質だという研究があります。例えば肉、小魚、牛乳にはカルシウムが多く含まれますが、同時にタンパク質も多く含まれます。タンパク質はアミノ基を含む栄養素ですが、これを多く摂取すると腸の中のアンモニアの代謝物質である窒素残留物が増加します。

窒素残留物は大変猛毒なので肝臓で代謝され無毒な尿素となり排泄されますが、その代謝の過程で必ず必要とされるのが、カルシウムと亜鉛です。ですから幾らカルシウムを多く摂取しても、タンパク質を同時に多く摂取すればする程カルシウムは不足していきます。

つまりカルシウムとタンパク質の摂取のバランスは、骨を丈夫にする為には欠かす事が出来ない重要な考え方です。

2.ビタミンDは不可欠!適度な日光浴が大切!

カルシウムの吸収の際に忘れてはならないのがビタミンD。カルシウムだけ一生懸命摂取していても、ビタミンDがないと吸収が不十分となります。ビタミンDはきくらげやきのこ類に含まれますが、適度な日光浴により体内で生成することができます。

3.ビタミンK

また、近年ビタミンKが骨粗鬆症の予防に効果的だと注目されていますが、納豆菌は腸内でビタミンKを産生する為、納豆自体に含まれる以上のビタミンKを摂取することが期待できます。納豆の一人当たりの消費量が多い県ほど、大腿骨骨折が少ないという調査報告があります。ビタミンKは、ほうれん草、春菊、ブロッコリー、海藻などの葉緑素からも摂取できます。

4.カルシウムの吸収にはマグネシウムが必要

著名な産婦人科医のガイ・アブラハム博士によれば、カルシウムの不足よりもマグネシウムの不足の方が骨粗鬆症の発症に大きく影響していると言っています。博士は菜食主義の女性と肉食の女性を比較した調査で、骨密度は更年期を迎える10年間で前者の方が高く、菜食主義のグループはカルシウムの摂取量は少なかったが、肉食女性に比べマグネシウムの摂取量は2倍だったという研究を残しています。

細胞内でのカルシウム:マグネシウムのバランスは2:1と言われています。体内で効率的にカルシウムを利用する為にマグネシウムとのバランスは欠かせない要因です。

5.フィチン酸やリンはカルシウムの吸収を阻害。ソフトドリンクの飲みすぎにも注意!

穀物などに含まれるフィチン酸やほうれん草などに含まれるシュウ酸は、カルシウムと結合して不溶性の塩をつくる為、カルシウムの吸収率を低下させます。また、ソフトドリンクにはリン酸や砂糖などを多く含む酸性度の高い飲み物です。暑いからと言ってソフトドリンクをたくさん飲みすぎるとお子さんの骨は弱くなってしまいます。

それに対して生の野菜や果物の果汁はアルカリ性の食品ですので、お子さんの水分補給に積極的に利用すると良いでしょう。

6.その他のカルシウム消化吸収に影響する要因。スナック菓子や加工品の過剰摂取によりカルシウムの排出が増加

スナック菓子や加工品などには、ナトリウムやトランスファット脂肪酸が多く含まれますが、それらを過剰摂取すると、カルシウムの排出量が増えるので注意が必要です。塩分や脂肪分が高いものを過剰に摂取することは避けましょう。

 

いかがでしょうか。「カルシウム=牛乳」と単純に言われがちですが、他の栄養素との全体的なバランスが大切。妊娠中など病院で強く牛乳を推奨されることも多いと思いますが、安心してヴィーガンライフを続けてくださいね!

手軽に栄養補給を♪~オススメレシピ~

※クリックするとレシピページを見ることができます。

カルシウム×マグネシウム

ブロッコリーとくるみのサラダ

カルシウムが豊富なブロッコリーとマグネシウムが豊富なくるみのサラダ。生で摂ることで栄養もたっぷり!

カルシウム×ビタミンD

切り干し大根と干し椎茸の煮物

 

カルシウムを豊富に含む切り干し大根に、椎茸のビタミンDを合わせ吸収率アップ。濃い目の味付けで、お弁当のおかずにもぴったりです♪

出典:鶴見酵素栄養学セミナー 2015年度
医学と栄養学の講座 第8回 ミネラル、ビタミン、アレルギー、玄米食

HEALTH REPORTS
Anserts for Healing
Reverse Osteoporosis & Increase Your Bone Density

ヴィーガン子育て編集部

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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