菜食の栄養

不足しがちなビタミンB12。大切なのは胃腸の状態!


監修 : 谷 智子先生


ビタミンB12の摂取で大切なのは胃腸の状態!肉・魚を摂取しても不足する可能性が充分あります。その理由を見て行きましょう。

ビタミンB12は、その摂取推奨量はごくわずかですが、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助けるのに欠かせない栄養素です。レバー、肉、魚、チーズ、卵などの動物性食品に多く含まれており、植物性食品にはほとんど含まれていません。

そのため、ヴィーガンはビタミンB12が不足しがち、と言われますが、実は動物性食品を食べられている方でも不足する可能性が充分にあります。その理由を見ていきましょう。

ビタミンB12の働き~不足すると悪性貧血などの症状も~

ビタミンB12は、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助けるのに欠かせない栄養素です。これが不足すると、悪性貧血、精神障害、睡眠障害、食欲不振などの症状を引き起こします。

赤ちゃんから大人まで、1食あたりのビタミンB12の摂取目安を知っておこう

以下の表は、1日あたりの摂取推奨量を算出したものです。12歳以降は変わらず一定量が必要なことが分かります。また、妊娠中、授乳中の方は通常よりも積極的に摂取をすることが必要です。

ビタミンB12の1日あたりの摂取推奨量(μg /食)

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準2015年版』のデータをもとに算出

菜食だけがビタミンB12不足を起こす訳ではない!

「菜食を続けているとビタミンB12が不足する」と思われている方は多いようです。しかしながら一方で、肉を食べていようと菜食主義者であろうと、誰でもビタミンB12の欠乏症は起こる可能性がある、と言われています。

それは、ビタミンB12の不足は、ビタミンB12を十分食べないからではなく、ビタミンB12が適正に産生し、吸収されないことで、不足状態となるからです。
ここで、ビタミンB12が吸収されるメカニズムを簡単に見てみましょう!

ビタミンB12は水溶性のビタミンです。食品中ではたんぱく質と結合しており、胃内で胃酸およびたんぱく分解酵素の活性により、遊離します。この遊離型ビタミンB12は、内因子(胃の壁細胞から分泌される糖タンパク質)と結合し、回腸より吸収され、最終的には主に肝臓に貯蔵されます。

つまり、胃腸が弱っていると、内因子の産生が欠乏し、たくさんビタミンB12を摂取しても吸収されず、結果的にビタミンB12の欠乏に繋がってしまうのです。

胃腸が弱る原因には、

①ストレス

②遺伝子組み換え食品や加工品の影響

③高脂質の過剰摂取による腸内細菌の乱れ

④砂糖の過剰摂取

⑤トランスファット脂肪酸やオメガ6油脂の過剰摂取

⑥添加物やグルテン、カゼイン

などの影響が挙げられます。

遺伝子組み換え食品については、この影響で、胃粘膜の炎症が起きたというオーストラリアの研究もある他、現在、加工品などには多くの遺伝子組み換え作物が使われているため、日本人の7割以上がリーキーガットを起こしている、と言われている医師もいます(崎谷博征著 「原始人食が病気を治す」)。

高脂質の食事については、食事中の脂質の量が増加すると、相対的に炭水化物の量が減少し、腸内細菌が利用できるエネルギーが減少。結果、B12の生産量も減少してしまいます。また、食事の脂質の割合が多すぎると、それがビタミンB12を吸収するレセプターに詰まりが生じる事もビタミンB12の吸収率を低下させる原因の一つとなっています。

この考え方に基づけば、普通に肉を食べる人でも起こる可能性がある、ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

昔は植物からもビタミンB12を摂取できていた!

ビタミンB12が多く含まれている食品は、貝類や魚、お肉など動物性のものが主に挙げられますが、実は食物中(動物性と植物性両方に由来)の細菌の産生する代謝産物からも供給されます。ですが、農業の変化により、こうした植物由来のものを摂取することが難しくなっているのが現状です。

1)近代農業の農作物にはビタミンB12がほとんど含まれない

過去に遡れば、人はビタミンB12を直接果実や野菜から摂取していました。かつては豊富に植物性の食品に含まれていた栄養素のビタミンB12が、近代農業が出現した1942年以降、化学薬品の生産者や販売者が第二次世界大戦で使われた残余化学兵器を殺虫剤や化学肥料として使うように方向転換し、生産に使われるようになり、土壌の細菌を殺菌したことで、ビタミンB12を合成する細菌が野菜や果物から摂取出来なくなりました。

2)作物を洗って食べるようになった

かつては果実や野菜の表面を洗う事にそれ程気を配ってはいませんでしたが、近年は残留農薬が充分に洗い流されるという認識から、作物の表面を洗い流してから食べるようになりました。

土壌から直接新鮮なレタス、セロリ、ニンジンその他の野菜を取って、そのまま食べていた時には、ビタミンB12を含んだ土壌がその周りに残っていました。またリンゴ、桃、梨、その他の果実の芯や固い部分の果房の近くには、細菌に富んだ土壌からの栄養分が詰まっていました。しかし土壌に化学物質を使うようになり、病原菌や細菌への恐れから、これらを取り除くと同時に、ビタミンB12の栄養源も除いてしまっています。

ビタミンB12の欠乏を防ぐためにできること

ビタミンB12の欠乏対策としてできることは、以下の事が挙げられます。

・生きた土壌で、植物性肥料で有機栽培された果実を食べること
・有機栽培された安全な農作物を洗わないで食べること
・高脂質の過剰摂取を避けること

しかしながら、そうは言っても現代はなかなか安全な野菜や果物が手に入りにくいといった時代背景もあります。そうした場合には高品質のサプリも上手に取り入れてみてくださいね!

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ビタミンB12の補給にはニュートリショナル・イーストを上手に活用!

ニュートリショナル・イーストとは、殺菌された糖蜜で発酵させフレーク状の酵母のことです。ビタミンB12の含有量は、小さじ1あたり1.3μg。ビタミンB群が豊富なだけでなく、クロム、セレン、鉄、マグネシウム、亜鉛、タンパク質などもバランスよく含んでいます。

ビタミンB12欠乏症を防ぐ「ニュートリショナルイースト」の使い方と栄養 ヴィーガン子育て

摂取量

小さじ1~2杯を摂取すれば1日の摂取量を補うことができます。

使い方

サラダに振りかけたり、スープに混ぜるほか、チーズのような風味を活かし、パスタやリゾットにかけても美味しくいただけます!

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ヴィーガン子育てスタッフおすすめニュートリショナルイース

ヴィーガン子育ておすすめレシピ

栄養豊富なニュートリショナルイーストですが、「どうやって使ったらいいか分からない・・・」という方も多いのではないでしょうか?
シンプルに、粉チーズの代わりにパスタやサラダにトッピングしても美味しく召し上がっていただけますが、ヴィーガン子育てサイトでは、様々なレシピでコクを出すために隠し味としても使っています。オススメのレシピも多数掲載中です!
是非参考にしてみてください♪

☆ヴィーガンチーズ風ソース

まずは、シンプルなチーズ風ソースで日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょう。
小さじ2杯ほどで成人女性の1日分の摂取量を補うことができます。
野菜につけてもよし、パン塗ってお好みの野菜をサンドしてもよし!万能なチーズ風ソースです♪

☆米粉のグルテンフリーVEGANピザ

ヴィーガンチーズ風ソースを使っての応用版です。
ヴィーガンピザなのに驚きの満足感を味わえます。

☆切り干し大根とキャベツのコールスロー

ドレッシングにニュートリショナルイーストを入れて、コクを出しています。

☆大豆ミートの3色そぼろ丼

炒り卵は木綿豆腐とココナッツオイル、ニュートリショナルイースト、ターメリックで完成♪

もっとレシピを見たい方はこちらからどうぞ。
ニュートリショナルイーストレシピ記事の一覧を見る

出典
Natshell  http://natshell-34.com/shopdetail/000000000252/
The80/10/10 Diet ダグラス・N・グラハム博士

ヴィーガン子育て編集部

※現在、日本では「VEGAN」を「ヴィ―ガン」「ビーガン」の2通りで表記されていますが、意味は同じです。当サイトでは「ヴィ―ガン」で統一しています。

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