有機給食への道Vol.4Ⅱ人生を楽しむための基礎力を育む~東広島シュタイナーこども園さくら~

<有機給食への道>と題してお届けしているこちらのシリーズでは、子どもたちの健康と未来を守るために、私たち一人ひとりにできることを考えていきます。

有機給食への道シリーズ(随時公開中!)
Vol.1:~そもそも有機栽培とは?~
Vol.2:世界の有機農業の現状とこれからの有機農業を支える「参加型認証制度」
Vol.3-Ⅰ:子どもたちの五感を育み生きる力を育てる~長野市上高田保育園
Vol.3-Ⅱ:子どもたちの五感を育み生きる力を育てる~長野市上高田保育園
Vol.4-Ⅰ:人生を楽しむための基礎力を育む~東広島シュタイナーこども園さくら~

Vol.4-Ⅰでは、東広島シュタイナーこども園さくら(以下、こども園さくら)の有機給食の取り組みについてお伝えしました。こども園さくらでは、子どもたちが大人になった時に「人生を楽しく切り拓く力」を身につけることを目標として、「基礎力の育成」を主軸に保育を行われています。今回は、子ども園さくらの森寛美園長先生にその取り組みの様子をお聞きしました。

五感をフルに活かすシュタイナー教育~日々のリズムを大切に~

シュタイナー教育とは、子どもの発達段階に併せて『体・心・頭』を調和的に育てる教育法のこと。こちらに通っている3歳~6歳の幼児期の子どもたちにとって、今は「体」を育てる時期。そのため、五感をフルに使った保育を行われています。

1日の保育は、「呼吸のようなリズムを大切に」

お部屋遊び→朝の集い→遊戯(表現活動)→芸術活動→外遊び→ストーリーテリング と1日の流れを繰り返し生活のリズムを身に着けていきます。

遊びが人生の基本!おもちゃを作るところから楽しむ

基礎力の育成には、「生活に関わることを1から知る」ことが必要不可欠と考えています。 料理では、3歳の子どもも包丁を使って調理します。
おもちゃは、無いものは「作る」が基本。お正月には木を使って羽子板を作ったり、かばんも自分たちで縫って作ったり。また、おもちゃが壊れたら釘や金槌を使って子どもたち自身が修理するとのこと。森先生は、「遊びが人生の基本。想像したり組み立てたりする力をつけていきます」とお話されます。こうした日々の活動を通して、痛い・危ないなどのイメージや直感力を身につけていきます。

また、木や貝殻など自然の造形物も立派なおもちゃになります。こうした自然の中にあるものを使いながら、表現力や想像力も育んでいきます。

「大人が見ても美しいと思う材料を使っています。”子どもだからこれでいいや”ということで素材を選ばず、美しい自然の素材にこだわって創作活動を行っています」と森先生。保育活動の要所要所で自然を感じることが出来る保育で、子どもたちの心はとても豊かになっていくのだろうと感じられました。

お部屋遊び


お部屋遊びでは季節を感じる「手仕事」を大切にしています。1年のリズムをつかみ、同じものが巡る安心感を覚えます。

おもちゃも、自然の造形物を使った手作りのものが多いです。子どもたちの想像力を伸ばしていきます。

芸術活動

にじみ絵・クレヨン画・みつろう粘土を通して、色彩感覚、触覚、嗅覚、熱感覚を育み、表現力、創造力を養います。

ストーリーテリング

一日の最後のこの時間は、先生が昔話や童話を素話や手作りの人形劇で話をしています。繰り返し話をすることで、お話に込められた叡智を深く理解し、聞く力を育てることを目的としています。

子どもたちは、先生が生の感情を込めて語るその物語に全身で集中して聞き、引き込まれているとのこと。聞く力が十分に備わり、想像力が磨かれているようです。

自然の中でこそ培われる力

こども園さくらでは、自然の移り変わりを自分の体で感じられるよう、園の周りの豊かな自然を散歩するなどの活動も積極的に行っています。

森の中で遊ぶことで臨機応変な対応力をつけたり、挑戦したりする力を育みます。

また、異年齢保育を行っているため、自然に助け合いやコミュニケーション力も磨かれているようです。

こうした日々の丁寧な関わりを通して、子ども園さくらの子どもたちは、「いつも人の良いところを見ようとする」力が育まれているとのこと。

障がいを持っている子や国籍が違う子など、子どもを取り巻く環境は様々ですが、誰かが人のことを悪く言うことがあっても、「でもこういう良いところがあるよ」と言うことが自然にできるようになっています。

「縦割り保育の中で人間関係を学ぶことを大切にしていることが活きているのだと思います」(森先生)というお話にある通り、色々な立場の人とのつながりから、それぞれを尊重するという心が育まれていくということを感じました。

子どもが小さい時期だからこそできることがたくさんあります。

「人生を楽しく切り拓く力」について、私たちも考えていきたいと思います。

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ヴィーガン子育て編集部

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