食材の選び方・使い方

「何か物足りない・・」そう感じた時に!ヴィーガン料理で満足感とボリュームを出す4つの方法~ポイントは旨味!~

植物性食材は動物性食材に比べると素材が持っている油(旨味)が少なく、物足りないと思われがちです。ですが、ちょっとした一工夫でしっかり満足感を得られる料理ができるようになります。ポイントは「旨味」。お野菜が本来持つ旨味をしっかりと出す方法や、調味料を使って旨味をアップさせる方法など、日常のお料理でお役立ていただけるコツをご紹介します。

また、ヴィーガンではない家族に食事が満足してもらえない・・とお悩みの方にも朗報!ボリュームたっぷりの美味しいヴィーガン料理を作るコツもお伝えします。

旨味を足す方法① 『重ね煮』

重ね煮とは、お水を入れずお塩だけで野菜を煮ることで、野菜の旨味を最大限に出す調理法のこと。マクロビオティックの「陰陽法」に基づきお野菜を一定の順序で鍋底から重ねて、極弱火で調理します。砂糖や化学調味料など一切加えないのに、野菜から驚くほどの旨味が出ます。重ね煮をしたお野菜があれば、お味噌汁やスープを作る際にも出汁は不要です。

重ね煮の第一人者、「百姓屋敷わら」の船越康弘さんは、ブログ「重ね煮とわらの暮らし」の中で重ね煮について以下のように説明されています。

素材の性質をはかる尺度に「陰陽論」というのがあります。 たとえば、根菜は下に向かって伸びる求心力で成長し、 体を引きしめ暖める「陽性」です。 葉菜は上に向かって伸びる遠心力で成長し、体をゆるめ冷やす「陰性」です。 重ね煮では、葉っぱを下に、根っこを上に重ねます。 これに火を加えることで、上に向かおうとする力と、下に下がろうとする力が働き、それがお互いに影響し合って、素材の持つ本来の甘味やうまみを引き出すことができるのです。 重ね煮のおナベの中では、 人間の考えや力ははるかに及ばない、自然界のバランスと調和のエネルギーが働いているということです。

重ね煮をしたお野菜は冷蔵庫で1週間程度日持ちします。どんな料理に加えても旨味がアップする上に、栄養も満点。週末に作り置きして、忙しい平日のお料理に加えると日々の料理に大活躍すること間違いなしです。

使い方は簡単。炒め物や揚げ物を作る際に、重ね煮野菜を具材に加えれば良いだけです。野菜を丸ごと食べることが出来て食材廃棄も無く、正に今の時代に必要な調理法です。

<重ね煮にピッタリのお鍋:十得鍋>

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旨味を足す方法②『蒸し煮』

もう一つ旨味を足す方法として、「蒸し煮」があります。重ね煮と似ているのですが、こちらは少量のお水と塩で野菜の旨味を引き出す方法。密封できる鍋などに野菜を入れ、野菜が本来持つ水分を利用して野菜の旨味を出す方法です。重ね煮と同様、弱火で調理します。

重ね煮に比べて短時間で出来るのがポイント。重ね煮は無水調理ですが、蒸し煮は少量のお水を入れるので野菜に火が通る時間が少し早くなります。また、火加減もそこまで神経質に注意しなくても大丈夫。少量のお水が入っていることで、重ね煮に比べると焦げ付きを防ぐことができます。

重ね煮に比べてお塩の量を増やすこともポイント。重ね煮に比べるとあっさりとした旨味にはなりますが、季節野菜のポタージュスープやポテトサラダなどに利用すればコクがあり美味しい1品料理に大変身します。

<レシピ紹介:じゃがいもと木の子のコロッケ>

旨味を出す方法③『発酵調味料を使う』

お味噌や塩麹・醤油麹などの発酵調味料を使うことも、ヴィーガン料理には非常に有効です。

発酵調味料とは、味噌・醤油・酢などの日本の伝統的な製法で作られた調味料のこと。微生物が所有する酵素を使ってタンパク質やデンプンを分解し、タンパク質を旨味成分に、デンプンを糖に変えてくれるので、旨味成分や甘みがアップすることは勿論、栄養価も高くなり腸内環境まで整えてくれます。日本の国菌である「麹菌」を使って作られる風味豊かな発酵調味料は料理にグッと旨味とコクを与えてくれます。

特におススメしたいのが、塩麹と醤油麹!「何か料理にコクが足りないな・・」と感じるときは、塩麹や醤油麹を足すことで料理がしっくりとまとまり美味しくなります。塩麹や醤油麹は家庭でも簡単に手作りすることが可能ですが、最近はスーパーでも売られていますので、ぜひ売り場をチェックしてみてください。

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<レシピ紹介:発酵の力でうまみたっぷり!塩麹そぼろ>

<大豆ミート唐揚げの簡単アレンジレシピ~南蛮漬け・磯部・塩麹>

旨味を出す方法④『豆を使う』

お野菜と同様、豆を料理に有効活用する事でグンと美味しいヴィーガン料理になります!お豆は、タンパク質も豊富で栄養満点。その上腹持ちも良く満足感も高くなります。ひよこ豆を使った中東風のコロッケ『ファラフェル』などはヴィーガンでは無い男性にも人気です。

<レシピ紹介:中東風コロッケ~ファラフェル>

<関連記事:『栄養満点な豆は種類も豊富!~豆の特徴を知って使い分けを楽しもう~』>

また、豆の煮汁には豆の旨味がギュッと詰まっています。豆を煮た後に捨ててしまうのは大変もったいない!スープやお味噌汁などに豆の煮汁を入れる事で旨味がアップ!一味違ったお料理の出来上がりです。「捨てるところが無い」お豆料理は地球にも優しいですね。

お豆は浸水する時間があるし調理が難しそう・・と思っている方も多いと思いますが、小さいお豆(小豆やレンズ豆など)は浸水不要、煮る時間も短時間で出来ます。思い立ったらすぐ作ることが出来るレシピも沢山ありますので、ぜひ参考にしてみてください。

<レシピ紹介:野菜たっぷり!レンズ豆のスープ>

<簡単!基本の白玉ぜんざいの作り方>

肉好きの方にも満足してもらえるヴィーガン食材

その① 『車麩』

「家族の中で自分だけヴィーガン。家族にもヴィーガン料理を作って満足してほしい」という方に最もおススメなのが、「車麩」!小麦たんぱくで出来ている車麩はお湯やお水で戻してお料理に使いますが、戻すとビックリ、まるで豚肉のような食感になります。「肉好きの家族が車麩を肉だと思って食べた」という方もいるほど!車麩を利用したもどき料理でカツや角煮などのレシピを見たことのある方も非常に多いと思います。

車麩は戻すと非常にもっちりとして、豚肉の油脂部分のような歯ごたえになります。ここにしっかりと下味をつけてカツなどのもどき料理を作れば、子どもから大人まで皆で楽しめる食卓になります。

『オーサワの車麩 12枚』

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<レシピ紹介:ジューシー!車麩カツのレシピ>

<おせち料理にも♪車麩の角煮>

<車麩のトマト煮>


その②『凍らせた木綿豆腐』

お豆腐はヴィーガン料理においてスイーツからおかずまで何にでも調理出来る栄養満点な食材ですが、凍らせることによって豆腐の水分が凝固し、お肉のような食感になります(絹豆腐は柔らかい為、木綿豆腐の方が凍らせた調理に向いています)。

たった一晩、木綿豆腐をパックのまま冷凍庫で冷凍するだけ!凍らせた木綿豆腐の解凍は、(1)冷蔵庫や、冬場であれば常温で自然解凍 (2)沸騰させたお湯で解凍 などの方法があります。楽な方法は(1)ですが、豆腐の中まで竹串がすっと通る程度まで解凍出来ればOK!お好きな解凍方法を探してみてください。

<レシピ紹介:ふんわりジューシー!冷凍豆腐の唐揚げ>

ヴィーガン料理を知らない人にとってはヴィーガン料理は「制限食」のように感じられるかもしれませんが、全くそんなことはありません。「無い」ものに注目するのではなく「有る」ものを工夫して調理することで、地球や体に負担をかけず美味しい料理ができ、無限の可能性が広がります。発酵文化や重ね煮などの伝統的な食事や調理法にも触れることができ、ひとつのお野菜やお豆から食文化を学べる楽しい機会にもなることでしょう。

「こんな食感の料理が作りたいな」「こんな味の料理が作りたいな」と先に料理の出来上がりのイメージをしておくと、そこに向けて工程を組み立てることが出来ます。ぜひ色んな実験を楽しんで、お気に入りの味を見つけてみてください!

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ヴィーガン子育て編集部

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